こどもとおとなのための

絵本プロジェクト

すべての音は、長く耳を澄ませば声になる
Any noise heard too long becomes a voice

ViCTOR HUGO
はじめに

『しずかなとびら』は、約7〜10歳の子どもを対象にした絵本ですが、
大人の心にも深く響く物語です。
声を失った少女が、閉ざされた扉の向こうに眠る記憶と、自らの「声」を探す旅。
詩のような言葉と静かなページの中に、見えない勇気と優しさが流れています。
それは、「受け入れる」という小さな奇跡への招待です。

あらすじ

ある日、少女は声を失いました。
それは突然のことではなく、少しずつ、言葉が空気に溶けていくように消えていったのです。
けれどもある夜、静かな森の奥で、自分の声のような響きを耳にします。
それはまるで彼女を呼ぶように、やさしく、遠くからささやきかけていました。

少女はその不思議な声を追いかけながら、いくつもの「ドア」に出会います。
閉ざされたドアのひとつひとつには、忘れられた記憶や感情が眠っていました。
痛み、怒り、悲しみ、そしてかすかな希望。
扉を開けるたびに、少女は少しずつ「受け入れる」という勇気を見つけていきます。

やがて彼女は最後のドアの前に立ちます。
その先に待っているのは、かつて失った自分の声と、新しい朝の光。
――これは、静けさの中で自分を取り戻す、小さな魂の旅の物語です。

人生は、試練の連続です。
時には、どうしても乗り越えられないように感じる瞬間もあります。
どんな音も、どんな言葉も、私たちの心の奥にある痛みや想いを
うまく説明できないことがあります。

音のない世界――
この本は、そんな静けさの中にある「喪失」と「再生」について、
優しさと詩のような言葉で語りかけます。

それは、形にならない感情を探しながら進む、
希望と美しさに満ちた小さな旅。
そして、失われてもなお続いていく「絆」の物語です。

ドローイングは、フランスのコミックの繊細さと
日本のアートの静謐な表現を融合させています。
私たちはこの作品に、心と技術のすべてを注ぎ込みました。

どうぞ一緒に、扉を開けてください。
秘密と色彩に満ちた、この静かな冒険の旅へ。

――愛をこめて
べべカリン